フューチャーソース・コンサルティング 最新市場 分析レポート

Vol. 164

形勢を大きく変える力学のあるウェアラブル市場

2018年07月31日

Futuresourceは、世界のウェアラブル市場に関する最新の四半期レポートを公表した。このレポートでは、ウェアラブル市場にあって形勢を大きく変える力学が強調されている。2018年第1四半期(Q1)の出荷数量は2,430万台、小売総額は44億ドルだった。

「2018年Q1、スマートウォッチとハイブリッドウォッチがウェアラブル市場の成長を牽引しました。2017年を支配したのはAppleでした。しかしながら2018年には、スマートウォッチ市場はさらに分断化が進むでしょう」と、Futuresource ConsultingのJames Manning Smithリサーチアナリストは述べている。「分断が競争に再び火をつけ、今年以降、課題と機会がみられるようになるでしょう」。Futuresourceでは、スマートウォッチブランド製品のプランニングチームが自社製品と販促計画を微修正し、市場シェアの獲得を目指すとみています。市場は今年、121億ドル相当になると予想されています」

2017年、Fossilなど既存のウォッチベンダーはスマートウォッチに注力するようになり、IoT時代に向けて自社ポートフォリオを近代化した。そして現在、有名なウェアラブルブランドのFitbitが市場で強力な地位を築きつつあり、2018Q1遅くのローンチ以降、スマートウォッチのFitbit Versaを100万台売り上げたと発表した。こうしたブランド企業が対抗しようとしているのはAppleだ。この3年でAppleはウェアラブル事業を大幅に拡大し、2017年にはコネクテッドウォッチ市場の60%を占有したとしている。この市場は2018年、さらに複雑になるとみられる。新規参入企業やウォッチメーカーが新たに成長した市場を取りにいこうとするからだ。

Futuresourceでは、長い目で見ると腕にまとうのはスマートウォッチだとみているが、2018年時点で、専用フィットネスデバイスには60億ドルもの市場がなお存在する。しかしながら、スマートウォッチに対抗するだけの競争力をフィットネス市場が維持していくのはますます困難になるだろう。この分野でFitbitが最近発表した製品は、同ブランドをこれまでに使用したことのないセグメントを標的にしようとした。キッズ用Fitbit Aceはアクティビティ・トラッカーとして販促されており、フィットネスのほかコラボレーション、健康への意識を促そうとしている。Futuresourceによると、「Fitbit Aceのローンチはスマートなマーケティング戦略である。新たな市場の人口層にアクセスするものであるほか、既存のFitbitのベースにある保護者から得られる追加的な売上を活用しようとしているからだ」(Manning Smith氏)

ワールドワイド・デベロッパー・カンファレンス(#WWDC2018)でのAppleによるWatch OSの発表は、コミュニケーションとスポーツの機能を提供する意思表示でもあった。さらに、ウェアラブル技術の可能性、デバイスの現行ロードマップを再定義するものだ。Appleはウェアラブル市場のイノベーションをリードしたいと考えている。新規ユースケースの定義、既存ユースケースの最適化のほか、既存のウォッチやフィットネス専用デバイスに代わるスマートウォッチのさらなる採用の拡大を目指している。

2018年はウェアラブル・セグメントで最も前向きな1年になりそうだ。これまで以上に、ハイエンドなウェアラブル製品に向かう堅調なトレンドがみられるだろう。

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