フューチャーソース・コンサルティング 最新市場 分析レポート

Vol. 220

サウンドバーが、今年もホームオーディオ市場の主役に

2021年03月30日

2021年3月10日ー 2020年のホームオーディオ市場の価値は、4%増の198億ドルとなり、これまでで最も高い水準となった。この理由のひとつとして、パンデミックによって人々が強制的に屋内で過ごさざるを得なくなったことで音楽やメディアへの関心が高まったということがある。

Futuresourceは、四半期ごとにホームオーディオ市場を詳細にわたって追跡し、主要な製品タイプの販売台数と小売価格の動向を慎重に測定している。昨年のデータを調べてみると、「サウンドバー」と「ワイヤレススピーカー」が突出したカテゴリとなっており、2019年と比較すると消費者の支出がそれぞれ9%と7%増加していることが判明した。

近年、ワイヤレススピーカーは強い成長を遂げており、2020年の成功は想定外ではなかったが、比較的成熟したサウンドバーカテゴリの復活は、オーディオ販売業者やテレビブランドなどにとっては心強いものとなった。サウンドバーは一般的に、そのシンプルさと使いやすさから成功しており、また、レビブランドが売上を伸ばすための手段として抱き合わせ販売されているが、最近では、テレビ用として適切なオーディオ機器としてだけでなく、複雑なホームシアターシステムに代わるシンプルな代用品としても使われるようになってきている。現在では、単体のオーディオ製品としても利用できるほど、機能が充実し、汎用性の高いデバイスとなっている。実際、米国、英国、ドイツ、日本と中国の10,000人以上のオーディオハードウェア所有者にインタビューしたFuturesourceの消費者調査「AudioTech Lifestyles」は、サウンドバー所有者の60%以上が、テレビの電源を切っているときでもサウンドバーをを使用してオーディオを聴いていることを示している。それにもかからわず、テレビの音を向上させるというサウンドバーの主な使用事例は、今日ではますます重要になってきている。これは、最近のテレビの薄型化が進んでいるため、ハードウェアに強力なスピーカーを搭載するためのスペースがないためである。

サウンドバーの品質と使いやすさを牽引してきた重要な機能のひとつが、3Dオーディオである。ドルビーアトモスとDTS:Xは、ここ数年で着実に関心を集め、臨場感あふれる映画館での体験に対する意識を高めてきている。ここ数年間は、多くの大ヒット映画がドルビーアトモスやDTS:Xで制作されてきているが、家庭でコンテンツを利用できるようになるまでには時間がかかった。しかし、2021年には、主要なプレミアム動画配信サービスのほとんどが、ドルビーアトモスなどの3Dオーディオフォーマットに対応している。さらに、2020年には、サウンドバー全体の10%以上が3Dオーディオ機能を内蔵しており、この技術が順調に普及していることが明白である。

この成長の主な要因のひとつは、多くの人々が映画館ではなく家庭で映画を楽しむようになったということだ。特に先進国では、消費者がリビングルームでより臨場感あふれる映画を体験することを求めている。
これに拍車をかけたのが、新型コロナウイルスの流行で、音楽やビデオの消費が増えたことである。新型コロナウイルスの規制により様々なレジャーを楽しむことができなくなったため、多くの人々がテレビや映画に安らぎを求めるようになった。そして、3Dオーディオ対応のサウンドバーが提供する没入型の映画館体験への関心が高まってきている。過去1年間で最も高い業績を上げたのは、当然ながら糸目をつけないような予算で消費者の時間を奪い合っているAmazon Prime、Apple、Netflixといった動画配信関連企業だった。これに加え、ワーナー・ブラザーズが2021年リリースの映画をすべてHBO Maxで劇場と同時に公開することを決定したことで、今年は高品質のホームシアターソリューションへの欲求が高まり、特に他のメディア企業がこれに追随すれば、その傾向はさらに強まるだろう。

Futuresource社は、この傾向が今後も続くと考えており、さらに多くの販売業者が手頃な価格帯のサウンドバーモデルに3Dオーディオを搭載すると予想している。これまでは、500ドル以上の価格帯のフラッグシップモデルが最大のシェアを占めていたが、Ankerなどのメーカーがドルビーアトモス搭載モデルを250ドル以下で発売すると、大手ベンダーは競争セざるを得なくなるだろう。さらに、今年のバーチャルCESでは、3Dサウンドを楽しみたいがスペースがないという人のための革新的なソリューションとして、菓子パンーサイズのエクレア・サウンドバーを展示した。Futuresource社は、このような技術革新と値下がりのバランスにより、2024年には3Dオーディオのサウンドバーが1,200万台以上に達し、市場全体の50%以上を占めるようになると予測している。

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