フューチャーソース・コンサルティング 最新市場 分析レポート

Vol. 169

K-12(初等・中等教育市場)において PC OEM メーカーおよび主要OSプロバイダーは引き続き拡大の見込み

2018年09月30日

Futuresource ConsultingによればK-12(初等・中等教育分野)におけるモバイルPC*の販売額は、2018年上半期も引き続き拡大を続けています。年間の出荷台数は、第二四半期に650万台に達しました。これは、昨年同時期の550万台から4.6%拡大しています。今年の下半期の見通しも明るく、大規模なプロジェクト向けの出荷がいくつか見込まれ、上半期と同様の傾向で拡大が続くと予想されています。

教育分野における継続的な拡大は、企業や小売市場におけるPCやタブレットの販売が停滞し始めたのと同時に発生しています。教育業界が、PC OEMメーカーや主要OSプロバイダーに拡大の機会をもたらしたことで、業界における競争が激しさを増しています。

この競争の状況は、Apple、Google、Microsoftの3つの主要オペレーティング システム プロバイダーの戦略を評価すれば明らかになります。教育機関での購買における重要な時期を占める2018年の上半期に、Futuresourceの調査データ レビューで、いくつか興味深い傾向が取り上げられています。

  • 米国の市場は、教育用モバイルPCデバイスに関して、世界最大市場の地位を維持しています。米国市場は普及率が50%を超える成熟市場で、多くの顧客が買い替え時期を迎えようとしています。そのため、市場の拡大とOSシェアの変化は一定に保たれます。2018年上半期と2017年の同時期を比較すると、ChromeとWindows OSのシェアが、それぞれ0.7%と0.4%拡大し、その分iOSとAndroidが減少しています。
  • 300ドル未満の価格帯の市場セグメントにおける競争が引き続き激化しています。米国の重要な市場すべてでChromebookの採用が大きく進んでいるのに対して、2017年は、AppleとMicrosoftが300ドル未満の教育向けソリューションに重点を置いた傾向が見られました。米国市場では、このセグメントが2017年には68.5%を占めていました。特にMicrosoftは、WindowsとChromebookの価格差を縮めようと懸命に取り組んでおり、Windowsプラットフォームでパートナー デバイスを促進することで価格を189ドルにまで引き下げました。世界の300ドル未満のカテゴリーにおけるWindowsのシェアは、2018年第二四半期に対前年比11%拡大し、同カテゴリーにおけるWindowsデバイスの出荷台数は75%増えています。
  • グローバルでのChromebookの販売額の89%は依然米国におけるものですが、米国外での販売額も特定の地域では堅調に拡大しています。特に北ヨーロッパでは、Chromebookは一貫してシェアを拡大し続けています。ヨーロッパ市場における教育機関へのChromebookの出荷台数は、2018年第二四半期に対前年比50%以上拡大しました。さらに、Chrome OSは、早期導入者としての中南米、メキシコ、ブラジル市場で勢いを増しています。このChromeの拡大基調にもかかわらず、Windowsプラットフォームは、北米以外のすべての主要地域における学校への販売において、依然大きなシェアを維持しています。
  • Appleが2017年に299ドルのiPadを教育機関向けに導入したことにより、米国の学校での同製品に対する需要が再び増し、数年続いた下落の後、2017年には販売額が拡大しました。2018年のタブレット型デバイス市場は、キーボード一体型の回転可能タッチ スクリーン式「2イン1」機によって競争が激化しています。初等・中等教育分野におけるコンバーチブル デバイスの世界の出荷台数は、2018年第二四半期に対前年比65%拡大しました。
  • 米国市場以外では、市場の状況は非常に多様であることが明らかになっています。米国を除く世界の市場では、第二四半期に410万台に達し、対前年比6.4%拡大しています。この拡大の大半は、中南米、中東、アフリカ地域での国家的な大規模プロジェクトによるものです。

K-12教育市場におけるコンピューティング ソリューションに対する需要は、2018年から2019年にかけて拡大すると予測されています。先進国で引き続き安定した拡大の機会が見込まれる一方、新興地域での大規模プロジェクトは、往々にして遅れたり、中止されたりする場合があります。Futuresource Consultingマーケット アナリストのMariia Konovalova氏は、「ベネズエラとアルゼンチンでのプロジェクトは、2018年第二四半期に大きく停滞しました。ベネズエラのプロジェクトは、国内の厳しい社会経済状態のため、2018年後半も危険な状態が続きます」とコメントしています。「一方、EMEA地域は、スウェーデン、ベネルクス諸国、英国を始めとした主要市場において力強い成果が予想されています」

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