フューチャーソース・コンサルティング 最新市場 分析レポート

Vol. 246

ゲーム不況の中、インディーズゲームが輝きを放つ

2022年08月31日

この夏、ゲームソフト市場は不気味なほど静かだ。第一四半期は『Horizon Forbidden West』、『Halo』、『Forza』といった大ヒット作が目白押しだったが、史上最大級のゲームソフト『Elden Ring』が発売されたことでどれも影を潜めた。この待望のリリースは、YouTube上において60日間で合計34億回の再生回数を集め、それまで最高記録を誇っていたタイトル、『GTA5』の19億回を凌駕した。発売から数ヶ月が経過した現在でも『Elden Ring』はゲーマーたちを魅了し続けており、トリプルA級ゲームの発売が少ない今夏の空白の時間を埋めるため、ファンはバックログを漁っている(というか、掻き集めている)。

これはゲーム業界ではよくある現象だ。というのも、パブリッシャーは通常、寒い時期や年末年始をターゲットに新作をリリースするためだ。しかし、2022年のラインナップは特に遅く、期待できる超大作がないようにも見える。

小規模スタジオやインディーズデベロッパーのための舞台は整った

2022年のリリースラインナップが限定的であることは、実は業界にとって良いことなのかもしれない。様々な大手パブリッシャーが2023年にタイトル発表を延期し、今期のリリースを見送ることを決めたため、小規模で無名のスタジオやインディーズデベロッパーがチャンスを掴むための舞台が用意されたのだ。

インディーズゲームは、クリエイティブで洗練されたゲームメカニズムや、起承転結のある独創的なストーリーやビジュアルを誇ることが多い。

市場の小規模ゲームの群れに紛れ、開発・マーケティング予算も少なく(スタートアップであることも多い)、チームも小規模であるにもかかわらず、インディー/AAデベロッパーは、素晴らしい作品を生み出す力を備えていることを証明してきた。例えば、『Subnautica』、『The Stanley Parable』、『Among Us』、そして最近では『Cuphead』などの名作が挙げられる。

プレイステーションとXboxはゲーム不足をチャンスに変える

またゲームソフトの配信サービスも、このゲーム不足に乗じて大手パブリッシャーの不足分を補うだけでなく、市場にある多くの小規模ゲームを発掘する手段としても機能するだろう。

プレイステーションは、新しい定額制サービス「PlayStation Plus」を主要な市場で開始する準備を進めている。新作ゲームの発売が少ない今は、旧世代のゲームカタログをチェックする絶好の機会だ。プレイステーションユーザーは、今年の夏から2023年初頭にかけて、懐かしの人気作をプレイすることになりそうだ。

一方でXboxは、Xbox Game Passで発売されるインディーズゲームやトリプルA以下のゲームに対する積極的な姿勢を崩していない。実際、インディーズゲームは、ビッグタイトルが発売されるまでの間、プレイヤーに質の高いコンテンツを供給し続けるための戦略的重要性を持っており、その結果、プレイヤーのGame Pass離れを防ぐことができまるのだ。

マイクロソフトはID@Xboxプログラムを通じて、インディーズ業界の優れた人材を育てている。ユニークなコンセプトに資金を提供することもあるが、主にマーケティングを通じてだ。優れたインディーズゲームにプラットフォームを提供し熱狂を生み出し、Game Pass利用者のプレイ意欲を掻き立てている。Xboxは、ソーシャルメディアだけでなくTwitchでの宣伝やストリーミングをすることで、多大な影響力を発揮しているのだ。