
ある一定の情熱にはその情熱が引き寄せられる場所がある。
自動車マニアであれば、アウトバーンを時速150マイル超で「合法的に」運転すること。ワイン愛好家であれば、ナパ・バレーかボルドーのブドウ園にある試飲部屋の至るところで、好きなように飲むこと。そして、ガジェット好きの人たちにとっては「東京」― 最新技術から生き血を絞りとって脈動する都市 ― がある。
新幹線内の自動販売機、スライドドアには似合わないチャイムの音、便座が温かくなるトイレなど、驚きは成田空港を出てすぐに始まる。そして秋葉原界隈なら、狭い路地裏の店と、独自の郵便番号を割り当てられるほど大きな、サッカースタジアムのような外観をした大型店との行き来で、運がよければ次の年に米国で手に入るような、運が悪ければ絶対入手できないようなものを発見して何日も過ごすこともできるだろう。
しかし、電子技術の驚きはCEATECで最高点に達する。毎年10月、テクノロジー関連企業が、翌年に秋葉原の商品棚に並んで終わるような新製品の展示のみならず、革新的技術(動作感知遠隔操作など)や5~10年先に飛ぶような感じがする、常識を覆すようなコンセプト(蜂のように周りの環境を感知できる車など)などを展示する。CEATEC開催中の幕張メッセのコンベンション・センターのフロアを歩くことは、「チャーリーとチョコレート工場」に出てくるウォンカの工場を訪れているみたいだ。ただし、よだれがでそうな大喜びの対象は携帯電話や超薄型LCDだということを除いて。
もちろん、すべての驚嘆や賞賛は2、3時間もすれば、軽い嫉妬に変わる。私たちがカラースクリーン付の電子ブックが持てないのはなぜ? どうしてあのマット仕上げの赤いマイクロフォーサーズのカメラは自分たちの手に入らないの? 自分はいつになったら一輪ロボットを買うことができるんだろう? しかし、私はそこがポイントなんだと思う ― 私たちは未来を味わい、感じているのだ、ということ。そしてもし、未来が現在であったら、未来は未来じゃないだろう? だから私はいつまでも、毎回CEATECにやって来る、願わくば、数年のうちには自分の一輪ロボットを従えて。(KEVIN SINTUMUANG)
ケヴィン・シンテゥムエン氏は2001年に「GQ」誌編集部に加わり、現在は共同編集者。GQでは編集とライティングを兼務し、テクノロジー、車、デザイン、旅行、酒類、さらにポップ・カルチャーなどに関する記事を手がけてきた。ほかに、ワシントン・ポスト紙、「エル」誌や「インタヴュー」誌などでもライターとして活躍してきた。ジョンズ・ホプキンス大学にてクリエイティブライティングを専攻。現在ブルックリン在住。
「GQ」誌は男性誌の権威。50年以上にわたり、「GQ」誌はトップ男性誌として、男性のファッションや文化に関して、信頼性のある記事を提供してきている。独特でパワフルなデザインと、一流のカメラマンたち、受賞暦を持つライター陣によって、「GQ」誌は、毎月、数百万人もの一流男性たちのもとへ届けられる。男性の方程式のすべてについて語る出版物は「GQ」誌ただひとつ。実に、より鋭く、より洗練されている、それが「GQ」誌である。